あなたに飼われる猫になりたい

大きな声では言えない日常の本音を書きたいと思います。

アイスショーの裏側(追記あり)

先日、CSでSOIの特別編を放送していた。

全スケーターの演技とインタビュー、舞台裏、練習風景など盛りだくさんで、3時間45分の長時間放送。

羽生結弦はショーのプロデューサー役である佐藤有香氏のアシスタント的立場を担い、(当然と思うが)破格の扱いだった。

羽生結弦の登場シーンだけを集めたWeiboの動画を見たが、約1時間あった。

今年のSOIはそれだけ羽生結弦の存在に頼ったものであったと思う。

 

私はこれまで折に触れ不思議に思っていたのだが、羽生結弦はなぜFaOI以外のアイスショーにほとんど出演しないのだろう?

存在が大きくなり過ぎて、DOIやPIWやTheIceのような元々小さな箱でやるショーには不向きなのだろうか?(『Shall We Dance?』の草刈民代のように「私はここでは踊れない」などと羽生は言わないだろうが)

それともシンプルに考えればソチ後に色濃くなった“共演NG問題”がずっと解消されないからだろうか?

ファン同士の諍いが悪化するのは目に見えているので、宇野昌磨や髙橋大輔などとは無理に共演する必要は確かにないのだろう。彼らからしたら主役を奪われるのも面白くないはずだ。

そして羽生結弦が現役選手である以上は、メインは試合に出ることであり、アイスショーはオフの余興なので、本当に出たいショーだけに絞っているのだろうとも思う。

 

かつてカメラマンの田中宣明氏の講座に参加した際、田中氏は「ゆづにはもっとDOIとかに出て若手の手本になって欲しい」と言っていた。

その言葉に賛同しているファンも多い。

日本フィギュア界の次世代のためには、羽生結弦はもっと若いスケーターと同じ空間で滑る機会を持つべきだとファンでなくとも、スケ連や主催者などの大人たちに普通の神経があるなら考えることだろうという意見も目にする。

(もし“共演NG”が理由なら、そして若い子たちの育成を真剣に考えるならば、遠慮するのは羽生ではなく他のスケーターたちの方だ、などと言ったら乱暴すぎるだろうか)

 

しかし現実問題、今の羽生のようなビッグスターはなかなか無名の若いスケーターと一緒に滑ることは難しいように思う。

そして競技で最高のパフォーマンスを目指すならアイスショーにばかり出てもいられないというのが羽生の本音かもしれないとも思ってしまう。

 

そしてこうも思う。

以前、『奇跡のレッスン』というNHKの番組にシェイやハビが出演した時に感じたことだが、日本の子供たちは本当におとなしい。相手が外国人ということもあるだろうが、挨拶も返事もまともに出来ないくらい固まってしまっていて、スケートの表現どころではないレベルだった。

ああいう普通の子たちがフィギュアスケートを習っていて、その中でちょっとジャンプが上手いというだけで地方大会から全日本へと勝ち上がって行けてしまう現実を考えると、何度か羽生結弦と一緒にアイスショーエキシビションに出るチャンスがあったとしても、それほどプロ意識が芽生えたり、観客を魅了するにはどうすればいいのかに目覚めたりは簡単には行かないだろうなと思うのだ。

 

羽生結弦という存在は本当に大きくなり過ぎて扱いにくいのかもしれない(素朴な日本の子供たちには劇薬という意味で)。

 

また、今回のSOI特別版の放送時、Twitterで『友野グダグダ』がトレンド入りしていた。横浜公演の最終日に円陣を組んで掛け声をする役目を羽生から任された友野が、突然のことで戸惑いぎこちない発声をしていたことを、羽生が「やばい、Twitterで書かれちゃう。友野グダグダで草ww」と言って笑っていたのがネタ元である。

番組では「羽生は場を和ませた」と温かい編集をしていたし、実際みんな笑顔だったので楽しい舞台裏だったのだろう。

一部アンチや他の選手のファンからは「友野くんが一生懸命掛け声をしようとしていたのに、羽生くんが結局横取りするような締め方をしてめっちゃ失礼!それを友野くんは“次回は任せてください”って大人の対応してて偉いね!」などと文句を言っていた。

私もはじめは、たぶん友野は「準備はいいですか?オー!」まで言いたかっただろうから、それを遮って勝手に「行くぜ!オェーイ!」とやってしまった羽生はマイペース過ぎると感じたが、羽生はわりと先輩にさえドSな発言が多いことを考えたら友野も「まあいつもの羽生くんだね」とすんなり受け入れていたのではないかと思う。

織田信成には2016年のGPFのとき、松岡修造氏も同席していたインタビューで「(今の試合の緊張感は)信成くんだったら毎回泣いちゃうかもね」などといじっていたし、無良崇人にもCiONTUでアクセルを何度も跳ばせていた。

きっと友野がジュニアの頃から試合やアイスショーで一緒になる機会があった羽生は、彼のことを気心の知れた仲間として常に対応しているはずだ。今回も問題のないいじり方だったのではないかと思う(羽生は波長の合う相手を見誤らないと思うので)。

確かに「だから友野くんはいじってもらえて、トレンド入りまでして喜んでいるはず」などと決めつけられるものではないが、アンチの被害妄想も放っておけばいいと思う。

(時に苦しいファンの擁護も、アンチの捻じ曲がった中傷も、所詮は部外者の戯言だ)

 

7月には羽生はDOIにも出演することが発表された。

今年は本当に特別である。

コロナ禍がまだしばらくは続くと思うので、いろいろ難しいこともたくさんあるだろうが、その中でもスケーター達に有意義な時間がたくさんあればいいと願う。

 

 

【追記】

“グダグダ”という言葉自体は、どこか人を嘲笑っている響きがあると私は感じるので好きではないが、国別対抗戦の表彰式の際、メダルや花束の扱いに戸惑っている選手たちを見て「グダグダだったww」「可愛かったww」「面白かったww」と多くのファンが草を生やしていたので、ファンのSNSに敏感な羽生結弦は「グダグダ」という言葉をポジティブに使ったのだろうと私は思っている。羽生に友野を嘲笑う意図は微塵もなかったに違いない。