あなたに飼われる猫になりたい

大きな声では言えない日常の本音を書きたいと思います。

ネイサンに対する本音

単なる私の偏った見方かもしれないが、羽生結弦ファンの多くは「ネイサンなんてジャンプと助走しかしてない。カリスマ性もないし、華もない。何度ワールドで優勝しようと、何度羽生くんに勝とうと、本物の王者ではない」と思っているように感じる。

 

本当にそうだろうか?

 

カリスマ性もスター性も華もないのは確かなのだろう。

そういう魅力がネイサンにあるなら、彼はもっともっと人気スケーターになっているはずだ。

アメリカではフィギュアの試合がテレビ中継されることもあまりないそうだし、アイスショーも瀕死の危機にあるらしい。

それはすなわちネイサンに人気がないから、ネイサンがスター選手でないから、ネイサン以外にもスターがいないから、ということの証明に他ならない。

 

それは私も認める。

しかし、本当にジャンプと助走だけの選手だろうか?

 

ネイサンはバレエと体操の素地があるので、手先の表現や、つま先まで伸びた美しいフリーレッグを見せる力はある。体幹もブレずにキレのある動きが出来ている。

柔軟性がないのであまりバレエ的な流麗なプログラムを滑る印象はないが、『ロケットマン』や『ネメシス』や、今シーズンのフリーなどではダイナミックなコレオを見せていてとても面白い。

『海賊』や『韃靼人の踊り』も悪くなかった。

そこに四回転ルッツやフリップをかなりの高い確率で成功させているので高得点が出るのも私は納得している。

ジャンプの助走が長いとか、高さがないとか、着氷が流れないとか、そういう細かいことを言い出したらキリがないが、全体の印象としては軽々とジャンプを跳び、ランディングでステップアウトや前のめりになることが少ないのは、プログラムの完成度としては高く評価されてもいいと思う。

 

2019年のさいたまワールドを夫と見ていた時、夫は「ネイサンは軽々とジャンプを跳ぶが、羽生はちょっと力んで苦しそうに跳んでいるように見える」と言っていた。

羽生は怪我をしている中での演技だったので「苦しそうに跳んでいる」ように見えたのは仕方のない事だとは思うが、ネイサンが軽々と跳んでいたのも事実だと思う。

 

羽生結弦本人がネイサンとは違う方向のスケートを目指しているので、羽生ファンもネイサンを認めるわけにはいかないのは無理もないが、ルールや採点傾向など何も知らない素人(私の夫)からすれば、助走の長いこじんまりしたジャンプであってもキッチリ跳んで、ミスの少ない演技が勝つのは当然のことなのだ。

 

羽生結弦はジャンプの入り方も出方も難しい工夫をし、限りなく助走を短くし、つなぎも衣装も曲に合わせて作り上げている。

ファンにとってはプログラムへの愛と理解の深さが伝わり、羽生こそが世界一のスケーターだとわかるが、今はそういう採点傾向ではないのだから、それでは羽生はネイサンに勝てない。

いや、そんなネイサンと、そしてそういう採点をするジャッジに勝とうなんて、もはや羽生結弦は思っていないのだが。

 

私がひとつとても気になっているのは、羽生結弦は平昌五輪前に右足首を怪我してからつま先が美しく伸びていないことが多くなったような気がする。

テーピングを何重にもしていて伸ばすことが出来ないのだろうか?

それとトランジッションを豊富に入れ過ぎて全体のスピード感が足りないようにも見える。

ネイサンや宇野などは大して複雑な足の動きを入れていないが、それゆえスピード感だけはある。そして今はそういう、ある意味見ていて爽快な単純なプログラムが評価される採点法になってしまっている。

悔しいけれど、羽生結弦が勝つには自分の信念を曲げてそういう滑りに転向するしかないのかもしれない。

(しかし羽生結弦の目指すところは絶対にそういうスケートではないし、彼はもう十分勝って来たので、あとは四回転アクセルの成功だけを目指せばいいと思っている)

 

最後にこれは私のもうひとつの本音だが、羽生ファンはネイサンに対して「華がない。カリスマ性がない。ジャンプだけ」と散々言うが、鍵山選手に対しては寛容に応援しているように見えるのが心底不思議である。

鍵山選手は日本の若手で、未来の日本フィギュア界を背負って行くかもしれないスケーターだから、そういう温かい目で見られるのかもしれないが、私には何の魅力も感じない。

(性格はとても素直で賢い子だとは思っているが)

ジャンプの構えにも癖があるし、大して踊れていないし、それこそ華もスター性もないように見える。

ネイサンのことはめちゃくちゃ言ってもいいが、日本の若手には厳しい評価をしてはいけない空気は一体何なのだろう?

(ネイサンは日本語が読めないから何を書いてもいいが、鍵山選手には気を遣っているということだろうか?)