あなたに飼われる猫になりたい

大きな声では言えない日常の本音を書きたいと思います。

アサインに対して。

6月30日はフィギュアスケート界では大晦日ということになっている。

新しいシーズンが7月1日から始まるからだ。

 

今年は、その6月30日にグランプリシリーズのアサインが発表された。

コロナ禍で昨年はカナダ大会とフランス大会が中止となり、開催されたアメリカ大会、ロシア大会、中国大会、日本大会は実質国内選手権のような形となった。

その結果、グランプリファイナルも開催はなくなってしまった。

 

今年は今のところ6戦全て開催予定となっており、(おそらく)規定で決められた通りにスケーター達はほぼ2戦ずつ出場することになっている。

 

注目のネイサンはアメリカとカナダ。

羽生結弦は日本とロシア。

宇野昌磨アメリカと日本。

鍵山優真は中国とフランス。

 

このアサインについて、それぞれのファンはいろんな意見を言っている。

 

(一部の)羽生ファンは「ネイサンは北米から出る必要のないアメリカとカナダを希望した。移動も少ないし、シリーズ1戦目と2戦目に出て、早々にファイナルを決めて楽に準備をするのだろう。そんな甘い計画では、かえって北京五輪本番で云々」

「鍵山くんは連盟の推しだけあって、特にライバルのいない中国とフランスになった。シリーズ2勝してファイナルに進めるだろう。得点も上手いことやるのではないか?もっと強敵と当たって北京五輪に備えた方が本人の為ではないか?」

「昌磨くんはフランス大会に出ると思ったけど今年は世界選手権で4位だったからネイサン、羽生くん、鍵山くんのいずれかと当たらないといけない。ネイサンと羽生くんには負けてもいいけど、優真くんには負けられないと考えたのかな?」

「ネイサンがスケカナを選んだから、羽生くんはスケジュールのキツイ日本とロシアになってしまった」

「羽生くんは1か月半の間にNHK杯、ロステレ、ファイナル、全日本と4戦もしなくちゃいけない。2019年みたいに体力を消耗する流れにされた」などなど。

 

他のファンは「優真くんの方が世界選手権で羽生くんより上位だったのに、なんでNHK杯に出られないの?全日本王者が優先されるの?人気者だから?」

「昌磨くんはやっとNHK杯に出させてもらえた。でも羽生くんと当たるなんて潰し合いだよ」

「羽生くんがスケカナを選んでくれたら、ネイサンが他の国に行けたのに」

「ラファもランビエールも移動が大変」etc.

(2017年のブライアンは毎週遠征で、途中突発的な病気で手術入院の目に遭ったほどだった。トップ選手を複数抱えるコーチはたいてい大変だ)

 

みんなアサインがどのように決められているのか内部事情など知り得ないはずなのに、凄まじい妄想力を発揮して好き勝手言いたい放題である。

自分が応援している選手にちょっとでも不利になりそうな展開に見えると言わずにはおられないのであろう。

 

しかし、たとえばスケジュールだけを見ても、グランプリシリーズは10月から毎週行われて、たいていの選手は2戦出場する。そして上位の選手は12月初旬のファイナルに進み、日本人はその後クリスマスの頃に全日本がある。これは毎年のことであり、羽生は(宇野も)ずっとこの間隔で試合をこなしてきた。2019年や今年だけが異常なアサインというわけではないはずだ。

特にファンが問題視している2019年に関しては、羽生は試合のたびに拠点であるカナダへ戻っていたので、自ら体力を削り、時差ボケの調整が出来ない過酷なスケジュールになっただけで、アサインの意図的な企みや連盟の陰謀などではなかったのではないか?

また、2016年は羽生は体調不良で全日本欠場、2017年と2018年は怪我でファイナルも全日本も出ていない。短期間で連戦をこなすリズムを掴みきれなかったのは羽生自身の問題であるように見える。

(などと私自身も真相を何も知らないのに憶測でものを言ってはいけないが)

 

ただこれだけは確かなことだと思っているのは、羽生は男子スケーターの中ではもう若手ではなく、かつて1か月半~2か月の間に4戦しても乗り超えられた体はもうなく、その上現在は4Aなどという未知の高難度ジャンプに挑戦中なので、実際のところ今年の全日本を迎える頃にはボロボロになっていてもおかしくはない。

それをまた「羽生くんは潰された。こんな過酷なスケジュールなんてひどい。アメリカとスケ連が裏で手を組んでいるに違いない」などと言い出すファンも出て来るだろう。

そう考えただけでうんざりする。

(2017年の全日本のあとは、羽生の平昌五輪のコーチパスが1枚しか出なかったことをあれこれ言って連盟にすごく怒っていたファンがいたがあれにも閉口した。そんなことは選手とその陣営が考えることなのだ。全くの部外者である単なるファンが何を出過ぎたことをと思った)

 

誰がどの試合に出るのか、誰と誰がファイナル前にぶつかるのか、それは本当に潰し合いなのか、それは結果的にその選手にとって吉と出ることはないのか(2013年の羽生のように)、と答えのないことをいろいろ考える。選手たち自身はどう思っているのか一度聞いてみたいものだ。

 

羽生結弦の目指す先は4A成功のみ。

ファイナル優勝でも、全日本優勝でも、北京金メダルでもない(はず)。

もっと冷静に状況を見守っていけたらいいのにと思う。